ノイズのちクラップ

耳から強制的に入って来る音すべてがノイズになる日がある

ザザー ザザー

誰かの言葉さえも砂嵐と同じ
意味をなさない音の連なり
だから諦めて目蓋を閉じる

ザザー ザザー
ガーガー ガーガー
ガラガラ ガラガラ

すると音はだんだんと変化していくから

ガリガリ ガリガリ
バラバラ バラバラ
パラパラ パラパラ

拍手の嵐になったころに
目蓋を開く

悲しむべきか
喜ぶべきか

わたしの人生という舞台の幕は何度でも開けるから
せめて祝福の音からはじめていこう

制作日:2018.11.25
すがら和叶

うまれる

お酒の味が分からない人は多い
お酒が好きだと言ったところで
深い? 潔い? 辛い? 甘い?
違いは分からなくて
とにかく美味しいとは思ったことは
何度もあるのに

コーヒーも同じ
甘味や苦味はとにかく酸味ってなんだ
すごく好みのコーヒーに出会っても
それが何だったのかまったくわからない
銘柄や品名を覚えようとしないからわからない

そして覚えたところで誰にも勧められない
肝心の味を伝えられないことには

だからこそ人は言葉を増やす
こうだよ ああだよと説明をする
どうにか理解してもらうために

熟れていない柿の絶妙な口当たりの悪さを説明するのに
「渋い」とはまぁなんとも感性の良い言葉を当てはめたのだと感動するように

味だけじゃない
きっと気持ちも同じ
恋とか愛とか
見えないものを絶妙に言い当てる為
言葉は生まれる

伝わるようにとの願いを込めて

制作日:2018.11.24
すがら和叶

(2018.11.24分。7分オーバー失礼しました)

あなたが忘れてしまっても

自分が気に入らないだけの行動だったんです
人助けのつもりではなかったんです
結果として助かった人がいたとしても
すべてはわたしの自己満足なんです

とあるグッズ販売イベントで
出来ている列に並んだらちっとも進まなくて
おかしいなぁと思ったから
隣りの方に場所を取ってもらって
スタッフさんを探して走り回りました

文句を言うだけとか
状況を見ているだけとか
それが嫌で走っていたら
スタッフさんから
すでに整理券配布は終了していると言われました
人手が足りずに困っていたので
代わりに列に並ぶ方々へと声をかけました
残念なお知らせを言って回りました
ぜんぶ自己満足のためでした

それなのに声をかけてくれる人がいました
困っていたので助かりました ありがとうございます と
言って下さいました
クッキーを手渡してくれました
ちょっと嬉しいと思う自分がいました

渡された好意をぎゅっと握り締めて
ありがとうございます、とわたしもお礼を言いました

自分の行動が誰かにとっては
余計なお世話になる可能性を孕んでいることを知ってはいるのです
スタッフでもないのに叫んで近隣住民にとっては迷惑だったでしょう

それでも走り出してしまうわたしの汗を拭いてくれるような
甘やかなことが起きたこと
わたしはひっそりと忘れないようにしているのです

制作日:2018.11.23
すがら和叶

季節の変わり目

夜が好き
商店街は仕事が終わったり学校が終わったりと
開放的な雰囲気で高揚して
人通りが減れば静かでほっとして

家に帰れば気楽なバラエティ番組を見ながら
夕飯を食べてお風呂に入ってリラックス
寝る前に
さぁ何か面白い話でも書けるかしらと
自分の為だけにパソコンの画面とにらめっこ
疲れたらあとは夢の世界へおやすみなさい

けれど秋から冬に変わる頃になると
暗くなるのが早くてなんだか物悲しい

夜が早く来て嬉しいと思えればいいのに
不思議なものだ

好きな夜も待ち望まない夜も
同じ夜のはずなのに

制作日:2018.11.19
すがら和叶