大晦日の前日

来年になってもわたしはわたしだと知っているので
手強い相手をまたも相手にするのかとうんざりしながら
除夜の鐘にお手伝いをお願いする
そんな日が今年も来ますね

すがら和叶
制作日:2018.12.30

ここにいるので

笑っていても
心の中では
笑っていないことは
いつものことなのに
表に出ない限り
なかったことになるので
言いたいことを言った方がきっと楽になるのでしょう

それでだれかを傷つけることになっても
わたしだって傷ついていると表明できるから

傷つけただれかだって元から傷ついているかもしれないって
知っていながらも素知らぬふりで泣いてみせたがる
凶暴なわたしに気付いたなら
どうか叱ってやってくださいな

すがら和叶
制作日:2018.12.30
(2018.12.29更新分。遅くなり失礼しました)

触れておけばよかった

一目見られるだけで十分だった
言葉を交わせたら十二分だった
そんなありきたりな恋だった

好きな人は太陽みたいな人だった

困った人に率先して話しかけて
真剣に話を聞いて
朗らかに笑っている人だった

初めて付き合う人と結婚するって占いで言われたんだって
照れながら話すかわいらしい人でもあった

そんなところが大好きだった

時間にルーズでも
ちょっと鈍感でも
嫌になんてならなかった

ただドキドキしていた
自分の鼓動のうるささに驚くばかりで
なにもできなかった

あの頃なにもできなかった理由を
否定されるのが怖かったとか
自分の心を打ち明けるのが恥ずかしかったとか
あとからいくらだってつけられたけれど

結局は初めてのことに振り回されて精一杯だったのだと思う

今のわたしはただあの人に触れてみたくてたまらないのだから
ちょっとは成長していると思っておこうか

すがら和叶
制作日:2018.12.30
(2018.12.28更新分。遅くなり失礼しました)

約束

久々に会う知人と話すのが好きだ
どんなことがあったのか聞いて
わたしも話して
良いことがあっても
悪いことがあっても
懐かしさから笑い合える

それなのになぜ
また遊ぼうね と弾ませた声に
わたしの心は冷えるのだろう

「いつかまた」を何度も繰り返して
通り過ぎて
うそつきになり続けるのは寂しいと
幼いわたしが膝を抱え込んで
さめざめと泣いているのだろうか

すがら和叶
制作日:2018.12.29
(2018.12.27更新分。失礼しました)

季節はずれの命

部屋の中で蜂が暴れている

真っ白けな蛍光灯の明かりの周り
ぐるぐるかつん ぐるぐるかつん
怒りのやり場がないように
円を描いてはぶつかっている

なんだか暖かい日が多かったためか
冬だというのに洗濯物に蜂が紛れ込む日々
洗濯物と一緒に室内へと導いては
発見とともに小さな命を摘み取っていく

ねぇ蜂さん

殺虫剤を片手に構えるこっちの気分だってよくないからさ
ふんわか もこもこの衣類につられたりしないで
真っ直ぐにおうちへお帰りよ

すがら和叶
制作日:2018.12.26