ばれちゃいましたか

ばれてしまいましたか
完璧な人なんていないってこと

そんな虚構を作っているのは
あなた自身だってこと
ついに気付いてしまいましたか

なんでそんな嘘がまかり通っているか?
そんなの決まっているでしょう

そうでもしないと
がんばる者が減ってしまうからですよ

好きなことを好きなだけやる人は
放っておいたって
元気に生きていけるけれど
臆病な人間には
そうでもしないと何も見つけやしないから

完璧っていう虚構から
見下されてようやく
走り出す人間も居る

それだけのこと

だからそんな怒らないでくださいね
虚構が嫌ならば
あなた自身の現実から
素敵なものを探してくればいい

それだけですよ

制作日:2018.10.08
すがら和叶

泣いていたい

大人だからと遠慮をせずに
泣いていたい

透明な水の膜で視界を歪ませて
ひとり打ちひしがれて
暗い世界に浸るのも

ふと顔を上げて
水の膜ごときでは変えられない
空の美しさに笑ってしまう情動も

どっちだって
必要でしょう

誰に対してなのか分かりもしない
遠慮や配慮や常識なんかで
それらを手放したくはない

身体の80パーセントを占める水
その出し入れを怠ることなく
循環させて
私は生きていたい

制作日:2018.9.27
すがら和叶

わたしにひとつの席を

わたしだけの席はないものか

椅子の背もたれを握って
わたしの座る仕種と同時に
ぴたりとお尻の下に椅子を押し出したり
机の上に豪華なメインディッシュや
彩り豊かなデザートの用意をしたりしなくていいから

おかえり、と導かれるままに
ぺたんと座れる席をください

誰でも座れるベンチでは
裸足になって眠れないので

制作日:2018.10.9
すがら和叶

ひとり

ひとりだな、と思う
限りなくひとりだ

マンションの一室で
座ってパソコンの画面を眺めている
ネットワークの渦の中には
たくさんの人が住んでいて
ぐるぐると流されながら
楽しんでいる

目が疲れて顔を上げると
ひとりだな、と思う

そこにあるのは
薄暗い夕暮れであって
窓の外からの笑い声であって
乾いて張り付く喉であって
遠くから漂うカレーの匂いであって
身体を冷やす隙間風であって

私の視界には誰もいなくて
私の耳に語りかける声はなく
私のために注がれる紅茶はなく
私のために作られるシチューはなく
私に触れるぬくもりもない

ないものだらけ

さっきまでなにがどう楽しかったのか
忘れてしまうほどに
何も無い

気ままなものだと
ひとり笑えば
どこかほっとして
パソコンの画面から自分を引っぺがす

買い物にでも行こうかなって立ち上がる
日曜夕暮れのスーパーは
どれだけ混雑しているだろうか

制作日:2018.10.02
すがら和叶

問いかけを一つ

かわいい服が
つたない詩が
甘いお菓子が
心を動かす本が
歌が 靴が 絵が
星が 月が 空が
夕日が 友達が
好き

囲まれていたい
すべてを並べて
私だけのお城

怠けることが
寝ることが
食べることが
体を動かすことが
話すこと 笑うこと
遊ぶこと 歌うこと
走ること 出会うことが
好き

比べられない
好きだけで生きられたらいいのに

何が一番?
自分の一番?

制作日:2003.12.1
すがら和叶