ファッション

地下鉄の階段で
5歳くらいの男の子を連れたお母さんが
ベビーカーを持ち上げようとしていた
乗っていた男の子に降りるように言って
両手いっぱいの荷物をベビーカーに載せて
さぁって気合を入れたところで
気になりすぎて声をかけてしまった

「手伝いましょうか?」
「……大丈夫です」

すでに両手を前に差し出していた私は
少し間を空けた返答に戸惑ってしまう

お母さんは続けて言った
「急いでいますので」と

どこか鋭い眼つきに困った私は先に階段を上がり始めた
でもやっぱり気になって
ゆっくりと振り返れば
「大丈夫ですから」と、言われてしまって
迷惑をかけてしまっているのだと知る

階段をのぼり終えてから
もっと良い声のかけ方があったんじゃないかとか
エレベーターを案内すればよかったんじゃないかとか
邪魔をしたかったんじゃないかとか
そんな弁明が頭を支配して
家路へ向かうスピードが速くなった

徒歩15分の道のりを辿り
マンションの階段をのぼる
その足が蹴り飛ばすスカートの裾を見た
お気に入りでいつも履いている
紺のロングスカート
履きすぎてくしゃくしゃのソレで
颯爽とベビーカーを運べるだろうか

その日以来
そのスカートを手に伸ばすとき
お母さんのクローゼットにも
そんなひらひらが残っているのではないかと
思わずにはいられなくなった

私のスカートとは違って
くしゃくしゃにならずに綺麗なままで

制作日:2018.9.13
すがら和叶

むなしいということ

 

冷凍食品を作る工場を映したテレビ番組で
たくさんのジャガイモが水に流されている場面があった
コンベアーみたいな銀色で作られた道の中
ごろごろ ごつんと ぶつかりながら
洗われながら運ばれていくジャガイモ

そんな場面を浮かべながら
満員電車に乗る私

美味しく食べてくれる人が居るのでもない
調理してくれる人が居るのでもない
会社から家に帰るだけの手段として
すごく早く走る機械の中
無言で生ぬるい体温に押しつぶされている

冷たい水に洗われるジャガイモの方がマシなんじゃ、なんて
考えてしまったらきっと私は
ぺしゃんとつぶれてしまうのではないかしら

かなしいとか
さみしいとか
そんなものすらない
何も詰め込んでいない心は
とても脆い

だから大げさなほど
胸にたくさんの空気を吸い込んで
音にすることのない
負けない負けない、とのつぶやきを頭に敷き詰めながら
押しつぶしてくる人たちを押しのけて
二本足で自らを支えてやるのだ

制作日:2018.9.11
すがら和叶

テスト中

明日から本格稼働です!

毎日作品を更新していきますよ~

しれっと過去の載せますが(笑)

たのしい(*^▽^*)